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樹木医日記

 

樹木医日記~木々との語らい~No.43~

樹木医日記~木々との語らい~No.43~
 
異形なるもの (樹木医 北 和俊)
 
ある現場で、ツバキの枝に普段見かけないものを見つけました。
通常のツバキの葉とは似ても似つかないものです。
   
これはヒノキバヤドリギという寄生植物です。
皆さんはご覧になったことはあるでしょうか。
宿木、寄生植物という名前からもわかるとおり、他の樹木に寄生し成長します。
種子が鳥によって運ばれ、糞と共に排出されます。
運よく木の枝等に糞が落ちると、粘着性のある種子はそこで発芽し寄生生活がスターするのです。
 
寄生されるとその枝は衰弱し枯れてしまうことが多く、また、一本の樹木が多くのヒノキバヤドリギに寄生されてしまうと樹木自体の生育が衰弱してしまうケースがみられ、最悪の場合枯死してしまいます。
 
樹木の弱体化を招く植物ですので、見つけ次第駆除するのが望ましいです。
今回のツバキも寄生された枝をしっかりと切り取り、駆除しました。
 
色々な戦略で覇権争いをする植物たち、勇ましく、賢く、感心してしまいます。
 
 
 

樹木医日記~木々との語らい~No.42~

樹木医日記~木々との語らい~No.42~
 
幹に空いた謎の穴 (樹木医 北 和俊)
 
今回は弊社で管理している店舗のサクラを紹介します。
このサクラは、店舗南側歩道内の植栽帯に植えられている6本中の1本です。
地際付近に径10cm前後の穴が空いているとの通報を受け、調査してきました。
調査結果、以下の4点が被害として確認されました。
 
・樹冠部に枝枯れが生じている。
・一部の葉が小型化している。
・地上2mと7m付近にキノコが発生している。
・地際に径10cm程度の穴がある。
 上記のような状態に陥った原因は、おそらく根からの腐朽によるものと考えられます。
 
ルートカラー(根と幹の境)が確認できないので、深植えの可能性が高い。
このため、根の生育不良も疑われる。根の生育不良が腐朽菌の侵入を許す要因となったとも考えられる。
腐朽部分を健全な状態に戻すことは不可能なので、これ以上腐朽を拡大させないための対策を講じ、樹勢をこれ以上悪化させないようにしていきたいです。
 
 
 
枝枯れ部
 
小型化した葉
 
 
発生したキノコ
 
地際の穴
 
 
 

樹木医日記~木々との語らい~No.41~

樹木医日記~木々との語らい~No.41~
 
樹木医の仕事 (樹木医 北 和俊)
 
今回は樹木医の仕事について、ある公園のサクラの事例をもとに少しお話します。
 
 
   
このソメイヨシノの大木は公園のシンボルツリー的存在になっています。
桜の季節には沢山の見物客がお花見に訪れます。
 
そんなソメイヨシノですが年月の経過とともに枝や幹に様々な傷みが生じていました。
調査してみるとキノコの発生、梢端部の枝枯れ、葉の小型化等が観察できました。
樹勢回復の手段は様々考えられます。土壌改良、エアレーション、根回りの踏圧防止柵の設置等々。
この公園におけるソメイヨシノの位置づけ、意味合いなどを考慮し、樹勢回復の手立てを取ることが出来たらと思います。
 
このサクラを管理している関係の方に、このソメイヨシノの現状分析と改善策を報告書にて提案させて頂きました。
予算の問題など、乗り越えなければならない課題は多々ありますが、長年この公園を見守って来てくれたソメイヨシノのためにも、このソメイヨシノを楽しみにしている利用者のためにも、良い方向に向かってほしいと願っています。
 
言葉を発せられない樹木たちに代わって、現状を伝え、将来に向かって改善提案をしていくこと、それも樹木医の大切な仕事のうちの一つなのです。
 
 

樹木医日記~木々との語らい~No.40

樹木医日記~木々との語らい~No.40
 
樹木の酸欠 (樹木医 高野 絵里奈)
 
樹木が生活をするためには、実はたくさんの酸素が必要です。
樹木は二酸化炭素を吸って、酸素を出してくれる生き物というイメージが強いので、意外なことと思われるかもしれません。
私も樹木医の勉強をするまでは知りませんでした。
今回は、樹木の根が起こす酸欠についてお話しさせて頂きます。
 
樹木の根は、深く植えすぎたり(図1)、植えた後にたくさんの土を根元に盛ったりする(図3)と酸欠を起こしてしまいます。
土の浅い所には酸素はたくさんありますが、深い所では酸素は少なくなるため、酸欠を起こしてしまうのです。
酸欠を起こすと根が弱ってしまい、時には根が腐ってしまったり、樹勢が衰退してしまう可能性があります。
中には、この状況を切り抜けようと頑張る樹木(図4)もいます。
元の根よりも高い位置から新しい根を出して、浅い所の酸素を取り込もうと頑張ります。
樹木が新しい根を出すときにはたくさんのエネルギーを使うので、早めに対応をして、樹木の負担を軽減してあげましょう。
 
今回の調査対象になっていた樹木は、多く盛られた土を除去し、経過観察を行うことにしました。
 
*周辺の環境や樹木の状態によっては深く植えた方が良い状況もあります
 
 
 
図1
 
図2
 
図3
 
図4
 
 
苦しくて、二段根が出ている様子
 
深植え状態
 

樹木医日記~木々との語らい~No.39

樹木医日記~木々との語らい~No.39
 
フジの異変 
 
今年もフジが随所で美しい花を咲かせてくれていました。
フジの名所に見に行かれた方も多いのではないでしょうか。
 
ところが、
「今年のフジは花が短いな・・・」
「もう少しで咲きそうなのに、蕾のまま落ちてしまう・・・」
こんな呟きを耳にする機会がいくつかありました。
 
いつもとはちょっと違う感じのするフジ、皆さんの周りにありませんか。
 
 
フジツボミタマバエが寄生して膨らんだ蕾
 
蕾のまま花が開かないフジの房
   
フジの房はあるのに花が短い、花が咲く前に蕾が落ちてしまう。
こんな症状がみられたら要注意です。
それは、フジツボミタマバエの仕業 かもしれません。
 
フジツボミタマバエはフジの蕾に産卵します。
幼虫は充実した蕾の中で孵化し、咲く直前の蕾を内部から食い荒らします。
結果、花は咲かず、蕾のまま地面に落ちてしまうのです。
 
 
 
 
地面に落ちてしまったフジの蕾
 
落ちた蕾を割ってみると、次々と蛆虫が・・・
   
丹精込めて育てたフジが咲かない、弱っていく、そんな姿は見たくありません。
しかし、残念ながら今のところ確実な対処法は確立されていないようです。
 
弊社では、ある程度発生を抑制するための処置を行い改善が見られた事例がありますので、
もしそのような症状のフジがあれば 一度ご相談頂ければと思います。
 
 

樹木医日記~木々との語らい~No.38

樹木医日記~木々との語らい~No.38
 
クロマツの樹勢回復処置 (樹木医 高野 絵里奈)
 
北樹木医が樹木医日記No.31、35で紹介したクロマツの樹勢回復処置について引き続きご報告します。
 
400年以上もの間、この土地の歴史を見守ってきたクロマツです。
様々な自然現象で枝折れ等により沢山の傷が出来てしまいました。
この様な傷は放置しておくと患部から腐朽が入り枝・幹を腐らせて行きます。
実際このクロマツの中心部は空洞化が進んでしまっている状態なのです。
よって今回の処置は、枝折れ等によってできた空洞部分を珪藻セラミックで蓋をし、クロマツ自身の治癒力で穴を塞ぐ手助けをすることを目的としています。
 
樹木は、下のイラストのように、折れたり切られたりした部分からカルスという癒合組織を作ります。
カルスは分裂・増殖を繰り返して樹皮に分化し傷を修復するのです。
 
 
 
枝折れや剪定で傷ついた枝は、
 
中心に向かってカルスを巻きます。
 
長い年月をかけて樹皮で覆い完治。
   
この松は患部の腐朽が進み、空洞化が随所に見られます。
この状態だと松自身の力だけでは穴を塞ぐことは難しく、また出来たとしても途方もない時間が必要になります。
今のままでは、更に腐朽が進み穴が拡大し、枝や幹の強度低下が懸念されます。
 
   
今回の治療は、下のイラストのように空洞化してしまっている枝を珪藻セラミックで塞ぎ、カルスで傷を塞ぎやすくする手助けを行おうという訳です。
 
 
 
 
傷んで空洞化した枝を、
 
切断し直します。
 
下地とパテで傷口を埋めます。
 
カルスが成長し傷を塞いで完治します。
 
 
 チェーンソーを使い患部を整え、パテで穴を埋めます。   さあ、これで処置完了です。穴の開いた患部が埋まりました。
                             これで腐朽の進行にブレーキを掛けられるはずです。
 
   
後はこのクロマツの治癒力に委ねることになります。
老木でもあり、患部が完全に樹皮で覆われるまでにはどれほどの年月を要するかは分かりませんが、きっと自身の力で傷を癒して行ってくれることでしょう。
今後も経過観察をし、見守って行きたいと思います。
 
最後に今回の作業では27ⅿの高所作業車を駆使しての作業となりました。
見晴らしは抜群でしたが、遮るものも何もない上空は風も強く、揺れと寒さで大変な作業でした。
しかし、この巨松はこんな過酷な状況でも400年以上ずっと人々の生活を見守ってくれていたと思うと、なんだかとても愛おしく、感謝の気持ちで一杯になりました。
これからも末永く生き続けてくれることを願います。
 

樹木医日記~木々との語らい~No.37

樹木医日記~木々との語らい~No.37
 
 
ナウシカになりたくて(樹木医 高野 絵理奈)
 
厳しい試験を乗り越えて試験に合格し、樹木医になりました。
小さい頃から風の谷のナウシカが好きで、いつかナウシカみたいになりたいと思ったことが樹木医を目指したきっかけです。
樹木医試験に向けての勉強は教科書の解読からでした。教科書はとても難しく、用語をインターネットや別の本から調べなければ読むことができませんでした。例えば、葉序。これは葉っぱの付き方の事なんですね。
1次試験の筆記テスト突破後は、2週間の勉強合宿の様な2次試験が待っていました。前日に講義や実習で行った事を翌日の朝にテストされるので、夜も安心して寝ることができませんでした。
そんな試練も樹木が好きという気持ちと周囲の方の支えでなんとか乗り切る事ができ、無事に合格することができました。
これからは、3人の樹木医の先輩方からご享受頂き、樹木と人の関係をより良くできる樹木医を目指して頑張ります!
 
 
テキスト
 
参考資料
 

樹木医日記~木々との語らい~No.36

樹木医日記~木々との語らい~No.36
 
巨大シダレザクラの移植(樹木医 北 和俊)
 
シダレザクラの移植作業について報告します。
今回移植したシダレザクラは高さ約8.5ⅿ、幹周約1ⅿとかなり大きなものです。
 
1.10ヶ月前に「根回し」を行いました
 
移植を行うにあたり予め準備するのが「根回し」という作業です。
当HPの「植木屋の女房№40」で10ヶ月前のこの時の様子を紹介しています。
 
造園業で行われる”根回し”とは、移植の数ヶ月前に根を切断することで細根の発生を促し、
移植先で根を活着しやすくさせる作業のことです。
 
細根が発生するまでには約半年から1年以上を要するため、予めそのような作業が必要になります。
大きな木の移植には、事前に入念な準備が必要なのです。
日常的に使われる”根回し”という言葉の語源となる仕事です。 
   
2.まずは掘り取り
 
まずは根鉢周りの土を掘り取り、根に着いた土が落ちないように根巻き作業を行います。
細根がしっかり出ているか、ちょっとドキドキしながらユンボを動かします。
   
3.ドキドキドキ・・・、細根は? 
 
見てください! 細根、確認できました。
ちゃんと根回しの効果が表れています。移植先での健やかな成長が期待できます。
 
 
細根写真1
 
細根写真2
   
4.次は根巻き作業
 
皆で息を合わせて緑化テープ、緑化縄を巻き付けます。
ポイントは縄の緩みが出ないようにすること。
根鉢を崩さないようにすること。
 
丁寧に綺麗に根巻きできました。
   
5.さぁ!積み込みです
 
この規模の移植の場合、人力では到底及ばないため、大型重機を使います。
ラフタークレーンを駆使し、木を傷めないように、かつ周囲の安全に最大限注意して積み込みます。
 
 
根鉢を崩さないように、吊り具で固定します。
 
 
 
移動するときに枝が折れてしまわないように、剪定したり枝を縛る作業を行います。
   
5.今回の移植は移動がもっとも大変でした
 
移植先は300mほと離れたところで、近いのですが、
両脇に電信柱と生垣があり、非常に狭い道を通る移動でした。
N君いわく「死にそうだった」。
この過程の写真がないので紹介できませんが、極度の緊張感の中での仕事でした。
 
再びクレーンで吊り上げ、丁寧に植え付けます。
角度や正面を見極め、微妙な調整を行い、水極めをし、支柱を設置して移植完了です。
 
4月の上旬の開花、その後の新葉の展開が見られれば、根が順調に活着したとみなせます。
2か月後の花を楽しみに待ちたいと思います。
 
 
この先に、狭い道の難所が待ち受けていました。
 
再びラフタークレーンで吊り上げます。
 
角度にも拘って丁寧に植え付けます。
 
移植完了。お疲れさまでした。
 
 
 
 

樹木医日記~木々との語らい~ No.35

樹木医日記~木々との語らい~ No.35
 
クロマツノ樹勢回復(樹木医 北 和俊)

 6か月ほど前に菌根菌治療を行ったクロマツがあります。菌根菌とクロマツの根との共生関係が良好な兆候として、キノコが発生したという事例があるので、その確認も含めて経過観察に訪れてみました。
根周りの菌根菌治療を行った場所をみてまわると、5か所にキノコを確認できました。(写真1)
菌根菌とクロマツの根との共生関係が良好な兆候はみられましたが、6か月前の状態と比べて枝葉の量はそれほど増加しているとは言い難い状況です。(写真2)
今年の春から伸びてきた枝は、前年に作られた芽から展開した枝葉なので、菌根菌治療の影響がでてくるのは、今年作られた芽が展開する来年以降ではないか、と考えます。
今後、さらに枝葉の量が増加、樹勢が上向くことを期待し、観察を続けていきたいと思います。
 

 
 
写真1
 
 
写真2(左記、赤丸部のキノコ)
 
 

樹木医日記~木々との語らい~ No.34

樹木医日記~木々との語らい~ No.34
 
カエデの異変(樹木医 冨田 改)

紅葉の季節が始まっております。

その年の気候とも関係しますが、今年の紅葉はどうだろうか。 

紅葉の代表的な木はカエデの仲間ですが、近年、紅葉が始まる前に落葉してしまったり、

葉が褐色に変色してしまったりと残念な結果となっています。 

 

皆さまの周りにはこんな現象は出ておりませんか。

これは明らかに病気です。

もしこのような症状が出ているようでしたら専門家に診てもらい、対処が必要です。

黒紋病、うどんこ病、首垂細菌病等、原因は様々考えられます。

お早目にご相談下さい。

 

 

樹木医日記 ~木々との語らい~ No.32

樹木医日記 ~木々との語らい~ No.32
 
山下公園 土壌調査研修会(樹木医 関 隆夫)
〈山下公園 土壌調査研修会〉
横浜市と樹木医会神奈川県支部の共催で行われた研修会を紹介します。横浜市の山下公園の一角で横浜市の職員と神奈川樹木医会会員の総勢60人が植栽基盤調査の研修をおこないました。
今回の研修の目的は土壌調査の実習はもちろんですが、樹木医の仕事を横浜市職員の方々に知ってもらうことにあります。
まだまだ樹木医の認知度は低いと思われるので。
 
植栽基盤の調査に使う器具は、長谷川式土壌硬度計、長谷川式透水試験器、長谷川式検土丈、山中式硬度計等があるのですが、それらすべての使い方の研修をおこないました。
当社がユンボを使って観察用の穴を掘ったり参加者を誘導したりして、研修会のお手伝いをしました。
山下公園は関東大震災の時のがれきを埋め立ててその上に作った公園です。
今回の研修では深さ1mの観察用の穴を掘りましたが、その深さではまだ当時のがれきはでできませんでした。
後で資料を調べたら震災がれきがあるのは現在の地盤より5m下だそうです。
 
興味深かったのは検土丈を使って土壌のサンプルを採取した時のことです。深さ2.5mぐらいで水が出てきました。
しかもその水は塩水でした。近くの岸壁へ行って地上から海水面までの高さを測るとぴったり2.5mでした。
もしかすると山下公園の土壌は厚さ2.5mぐらいで、海水がしみ込んでいるのかもしれません。
公園の樹木は高さ10mを越えているものもありますので地盤の厚さが2.5mあればその大きさまでは育つということでしょうか。
 
 
写真1
 
 
写真2
 
私と当社の北樹木医(右)
 

樹木医日記 ~木々との語らい~ No.31

樹木医日記 ~木々との語らい~ No.31
 
クロマツの樹勢回復作業(樹木医 北 和俊)
〈クロマツの樹勢回復作業〉
今回はクロマツの樹勢回復について取り上げます。このクロマツは樹令420年、高さ27.7m、幹周り5.62mの堂々たる容姿の樹木
です(写真1)。
近年、樹勢の衰退が目立つようになってきたため、樹勢を向上させるべく菌根菌と肥料を用いた治療作業を行いました。
菌根菌とは、植物と共生関係にある菌類(キノコ・カビ類)のことです。アカマツ林に発生するマツタケも菌根菌の一種です。
菌根菌が根につくと、菌糸が、マツの根が届かないところまで広がり、マツは養水分を効率的に吸収できるようになります。
肥料は、モリブデンという微量要素を配合しているもの使いました。モリブデンは植物の生育に必要なエネルギーを作り出す回路に
なくてはならない成分です。
掘削には、空気の力で掘削ができるエアースコップを用いました(写真2)。これを用いることで、根を傷つけることなく掘削できるよう
になります。エアースコップを用いてマツの根を探り出し、上記の資材を施用しました(写真3)。
  今回の治療作業により、樹勢が回復し、地域のシンボルとなっているこのクロマツが末永く生育し続けていくことを願います。
 
 
写真1
 

樹木医日記 ~木々との語らい~ No.30

樹木医日記 ~木々との語らい~ No.30
 
桜切るバカ・・・・、ではないのです(樹木医 冨田 改)
春の幕開けはサクラの開花で始まると言えるでしょう。
まず河津桜がほころび始め、ソメイヨシノの桜前線の話題がでてくると、本格的に春に思いが飛んでいきます。
 
ところで「桜切るバカ」と俗に言われていますが、大きくなりすぎて困っているケースも実は多いのです。
こちらのサクラも伸びすぎた枝にクズが絡みついて、花が咲いてもせっかくの風情を台無しにしています。
 
当方に相談があったのは、ただ単に切るのではなく、
木の姿、並木としての風情、そして何よりも木の樹勢を衰えさせないための処置を、とのことからでした。
適切な位置を探り出し、慎重に枝を落としました。
 
 
見事に咲いてくれることを願って…
 
切り口の処置も手抜かり無く行います。
 
 
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.29~

樹木医日記-~木々との語らい~No.29~
 
その後のイチョウの倒木対策(樹木医 北 和俊)
今回はイチョウについての報告です。
樹体にかかる負荷を軽減させる対策を行ないました。施工は3段階に分かれます。まず、枝抜き剪定を行い、次に、樹高を低くします。今後、成長したとき、どういう樹冠になるかを考えた上で剪定位置を決めました。そのあと、クレーンによる吊り切りで13.5mある樹高を6mほどに引き下げます。最後に特殊素材のロープによる周りの樹木へ3点支柱する、という流れです。
幹を“だるまおとし”のように切断し、樹高を引き下げるのが一番大変な作業でした。足場の少ない樹上でロープワークを駆使しながらチェーンソーで幹を切断。クレーンによる吊り切りは、切断した幹が意図した所に降りるように細心の注意を払って作業を進めなければならないので、高度な技術を必要とします。
特殊素材のロープの特徴は、ワイヤーと比べ、軽く、施工が容易であることです。今回使ったもので2tの負荷に耐えることが出来ます。
この一連の作業で、倒木の危険度はかなり低くなったといえます。今回の作業後、このイチョウがどのように成長していくのか、見守って行きたいと思います。
 
 
対策前
 
吊り切り施工中
 
ロープ支柱施工中
 
施工後
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.28~

樹木医日記-~木々との語らい~No.28~
 
イチョウの樹木診断(樹木医 北 和俊)
今回は茅ヶ崎市にあるイチョウについて報告します。
高さ13.5m、枝幅9.0mのこのイチョウ(写真1)は、オハツキイチョウと呼ばれ、葉に結実するとても珍しいものです。(写真2)かつては、今よりもっと大きかったようですが、落雷による被害で今の樹高となり、内部への被害も甚大なものとなりました。現在、内部の空洞部にはウレタンが詰め込まれています。空洞率が高いことが予測され、今後の管理の方針を決めるため音波を使用する機械で、内部の空洞率を計測しました。(写真3)
地際から計6ヶ所計測し、平均すると空洞が全体の7割以上を占めていることが判明しました。所々に生存している部分が残っているため、すぐに倒木する危険性は低いと思われます。が、このままでは、年々倒木する可能性は高まると考えられます。それで、樹体にかかる負荷を軽減させるために、二つの対策を提案しました。
1つは、ワイヤーロープ等を使っての倒木防止の支柱。周りの木とイチョウをつないで倒木を防ぐのです。もう1つは枝抜き剪定です。風により枝があおられて、樹体がねじられる抵抗を減らし、幹が折損する可能性を低くするためです。
これらの対策によりこのイチョウが今後も元気に生育し続けてくれることを願っています。
 
 
写真 1
 
写真 2、3
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.27~

樹木医日記-~木々との語らい~No.27~
 
古木調査で思うこと(樹木医 冨田 改)
昨今、世紀をまたいで生き抜いた古木をみる機会が多くあったが、それぞれに幾多の苦難を乗り越えて今日に至っている。
樹木は厳しいにさらされている例もいくつか見うけた。
生物のうち、動物は環境が悪くなれば、用意に移動を行うが植物はその場を離れるわけにはいかない。
植物にとって、その場は様々であるが、おおむね人間が関与し、次第に劣悪環境へと追い込まれるか、一定の所に押し込ま
れてしまっている。
人間はできれば天寿を全うしたいと誰もが願っていると思うが、樹木もきっとそうに違いない。
 
 
生育環境の変化で次第に衰退し、枯死した古木
 
根元調査 表皮はすべて枯死
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.26~

樹木医日記-~木々との語らい~No.26~
 
樹木医研修会(樹木医 関 隆夫)
先日、平塚の馬入ふれあい公園でおこなわれた、日本樹木医会神奈川県支部の研修会に参加しました。
内容はスポーツターフの管理手法について。講師は実際に平塚競技場の管理をされている湘南造園(株)の小林さん。
スポーツターフとは競技場、主にサッカー場の芝生のことで、日本では20年ほど前のJリーグ開始とともに導入されました。
私たち造園屋も芝生の管理を行っていますが、それとスポーツターフの管理とはさまざまな点で違いがありました。
こちらのグラウンドでは夏芝と冬芝を季節に合わせて切り替えて使用しています。
現在、Jリーグは3月からはじまって12月の上旬までで、この期間内で試合のある時はグランドの芝生は常にベストの状態である
ことを求められるということです。
つまり、競技のある期間は常に青々としていなければならないのです。これには非常に高度な管理技術が必要になってきます。
具体的な管理作業としては刈込、施肥、傷んだ部分の補修、灌水で、これは個人邸や公園の芝生管理作業と同じです。
しかし、驚くべきはその回数で、平塚の競技場では年間に200回の刈り込み作業、20回の施肥をするそうです。
また、灌水作業も競技場全体にむらなく水が行き渡らないと芝生の生育に差ができてしまうそうで、スプリンクラーの設置位置にも
細かな配慮が必要だということです。
講義の後、グランドに入れていただいて芝生の感触を確かめたり、使用機械を見せてもらいました。
現在の芝生はライグラスとティフトンの混合だということですが感触はとても柔らかく気持ちの良いものでした。
このグランドで練習している湘南ベルマーレは今年J1リーグ昇格を果たしました。
    グランドキーパーとしてチームの成績が上がることが一番の喜びと話されていました。
講師の小林さんおめでとうございます。
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.25~

樹木医日記-~木々との語らい~No.25~
 
なぜマンサクは枯れてしまったのか(樹木医 北 和俊)
ある現場の法面に植栽されている高さ3m、幅2.5mのマンサクが枯れてしまいました。
(写真1)以前、すぐ隣に植栽されていたマンサクも枯れたために伐採されたようですが、
こちらは根が生きていたのか、細い枝が成長していました。葉に病害と疑わしき症状はみられますが(写真2)、
これだけでは枯れることはないのです。
では、なぜ枯れてしまったのでしょうか?
このマンサクが植栽されている場所は、北側に20mを超えるマンション、東側~南側には林地が広がり、日当たりが悪いのです。
土壌表面も、本来、芝生のあったところなのに、ほぼコケで覆われていることから(写真3)、水はけの悪さが推測されます。
日照不足と水はけの悪さ、このどちらかでも該当すれば、健全な樹木の生育は阻害されます。
今回のように2つも該当すると、樹木にとってかなり厳しい生育環境であるといわざるを得ません。
生育に適した場所かどうか調査・検討したうえで、植栽するかどうか決めるのがよろしいか、と考えます。
 
 
写真 1
 
写真 2、3
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.24~

樹木医日記-~木々との語らい~No.24~
 
サクラの胴枯れ病について(樹木医 関 隆夫)
サクラが先端から枯れてくるサクラ胴枯れ病についてお話します。
この病気は、最初は枝の先端が枯れるだけですが、先端から次第に胴へと枯れてきて、
最終的には全体に広がり、枯死に至る危険性の高いものです。
環境の変化や、強剪定等の原因で樹勢が弱った時に感染しやすく、
菌の活動が活発な高温多湿な時期に被害が広がります。
夏場の剪定時には切り口から菌が侵入することがあるので必ず殺菌剤を塗布します。
重症木は菌の伝染源になるので伐採して撤去処分したほうが良いです。
被害を防ぐには樹勢を低下させないような適切な維持管理がなにより重要です。
ある公園の過去と現在の写真をご覧ください。
こちらのサクラ衰退の主な原因が胴枯れ病とみられています。
 
 
横浜のある公園の過去
 
その5年後の様子
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.23~

樹木医日記-~木々との語らい~No.23~
 
また、目立ちだしたマツノザイセンチュウ被害(樹木医 関 隆夫)
最近、神奈川県内でマツノザイセンチュウによって枯れたとみられる松の木をよく見かけます。
5年ほど前に大磯の海岸線で多くの松が枯れていました。それらが伐採されてマツノザイセンチュウの被害は落ち着い
たかと思っていましたが、最近は国道一号線の横浜新道のあたりや鎌倉の市街地、藤沢でも内陸部で見かけます。
写真は藤沢市内のある工場の敷地内の松です。8月の時点ではまだ緑の葉がたくさんあったのに2か月もしないうちに完全に枯れて
しまいました。
この急激な枯死はマツノザイセンチュウによる特徴の一つです。
こうなってしまうとセンチュウが他の木に移動するのを防ぐためにできるだけ早く伐採して、根株にも殺虫剤を撒かねばなりません。
マツノザイセンチュウは1mmぐらいの大きさなのでルーペで見ることができます。
見る方法も比較的簡単で、写真のように木工ドリルで穴をあけて削りかすを一握りぐらい集めてそれを水につけておいてクッキングペ
ーパーで濾して、それをルーペで見やすいような透明な瓶に入れて観察すると、センチュウが泳いでいるのを見ることができます。
 
 今回伐採した松は根元、中間、先端のどの部分にもセンチュウがいました。
 
 
マツノザイセンチュウの疑いのある木
 
施工中
 
 
抽出中
 
マツノザイセンチュウ
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.22

樹木医日記-~木々との語らい~No.22
 
クロマツの倒木危険度を診断(樹木医 北 和俊)
今回はクロマツの樹木診断について紹介します。
このクロマツは推定樹齢240年で、高さ18.5m、幹周3.19mの威風堂々とした見事な姿です。
幹の東側に高さ2mから5.5mにかけて開口空洞があり、この影響で倒木の危険性があるのかどうか調べるのが今回の調査目的
です。
倒木の危険性を判断する目安となる数値でt/R比というものがあります。
tは健全部の厚さ、Rは幹の半径を表し、この数値が0.3を下回ると倒木の危険性が高いと判断します。開口空洞の4ヶ所でそれぞれ
を計測し、t/R比を出すと4ヶ所の平均が0.5前後とわかりました。
現時点では、倒木の危険性は低いと考えられますが、幹が西側に傾いて成長しているので、今後の安全対策として、開口空洞部への
負荷軽減を講ずるべきと考えます。
立地上、支柱を設置することはできないので、上部を5m程度切断し、西側へ出ている大枝の長さを短くすることで、かなりの負荷軽減
が図られ、倒木の危険は回避できると判断しました。
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.21

樹木医日記-~木々との語らい~No.21
 
シダレモミジの呼び接ぎ(樹木医 富田 改)
呼び接ぎ(よびつぎ)とは?
 
樹木治療の一つに「呼び接ぎ」という手法があります。
根の衰えが激しく、根から養水分を上部(幹や枝葉)に送りきれない場合や養水分の脈が分断されている場合に、葉水分を吸い上げる
バイパス(新たな根)を人為的に作るものです。
根の活動が上部に伝わらない樹木は、かなり重症です。この呼び接ぎの手法は、重症の樹に対して最後の手段としてとることが多い
と言えます。
 
余盛りが衰えの原因に
 
今回紹介するシダレモミジの治療も、依頼主の何とか樹を生かしてやりたいという思いを受け、取り組んでいるものです。
樹勢衰退のそもそもの原因は土の余盛りでした。この余盛りというのは元の地盤の上に土を重ねることです。適切な位置以上に土を
盛られると、根に酸素がまわりにくくなり樹は弱ってしまい、虫がつきやすくなったり、病気になりやすくなるのです。
 
最後の望みをかけ
 
このモミジは余盛りされた根元をカミキリムシに食害され、4年前には衰退が表れていました。以来、余盛り除去、土壌改良等で樹勢
の回復(食害痕の回復)を図りましたが、今年になって上部幹の一部が枯れてきてしまいました。そこで最後の望みをかけ、モミジの若
い苗木を呼び接ぎすることにしました。
 
写真で治療の様子を紹介します。
 
 
根元患部の状況
 
幹と若木の表皮を削り針止める
 
 
分断された幹の表皮と若木の表皮が密着するように針止め、接ロウで間をふさぐ
 
治療完了
完全に密着を確認できたら若木の先は切除する
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.20

樹木医日記-~木々との語らい~No.20
 
薬剤注入で枯死か? 3本の街路樹(樹木医 北 和俊)
街路樹として植栽されているクスノキが、枯れているのではないかとの通報を受け診断してきました。現場に行ってみると、周りのクスノキは枝葉を繁らせているのに、通報のあった3本のクスノキのうち1本は全く枝葉がなく、2本はわずかに枝葉が生えているのみで、健全といえる状態ではありませんでした。
調べてみると、全く枝葉のないクスノキは根元に径1.5cmの穴がいくつもあけられていました。わずかに生えている葉は小さく、葉の両端から枯死していて、幹からの芽吹きも八房状となっていました。これらは除草剤で枯れていく症状に似ています。
悲しいことに、この3本はどうやら除草剤を注入されて、人為的に枯らされてしまったものと推測されます。1本は幹に穴をあけられて、そこから直接注入され、2本は幹に穴をあけられていないので、植枡内へ注入されたのだと思われます。
街路樹は夏の日差しを和らげ、緑があることでの癒しの効果など、私たち人間に多くの恩恵をもたらしてくれます。どのような意図があったのかわかりませんが、多くの方に街路樹の価値と意義をもっと理解してもらうことも、樹木医の役割の一つであると改めて考えました。
 
 
枯れたクスノキ
 
除草剤の注入痕
 
 
除草剤注入の症状に類似①
 
除草剤注入の症状に類似②
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.19~

樹木医日記-~木々との語らい~No.19~
 
アカマツ 大雪被害の処置(樹木医 富田 改)
今年の大雪は樹木にとって散々なものでした。 
今まで経験したことのない雪の重さに、鍛えられていない樹木は枝折れや枝裂けが多く発生しました。
そんな一例を今回は紹介します。
樹種はアカマツです。余盛や管理上の問題があり樹形は乱れていますがそれを引継ぎ管理させてもらっている木です。
雪の重みで枝が大きく裂けたので緊急的に主木(支え)をし、裂けが広がらないように処置しておいたところを元に戻したのです。
枝を持ち上げて戻しながら番線で締めることを繰り返し、どうやら元の状態近くまで戻すことができました。
この枝は断面の半分までが、枯れていてキノコの発生もあり、傷を治療して自立まではかなり難しい状態ではありますが今後の経過を観察していきたいと思います。
 
 
 
枝裂け状態
 
枝を上げながら裂け目の状況を確認中
 
 
元の状態に戻し固定
 
治療完了
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.18

樹木医日記-~木々との語らい~No.18
 
フジ 幹腐朽部への処置(樹木医 北 和俊)
今回はフジの治療について紹介します。
弊社で年間を通して管理しているフジです。このフジは以前は花が咲かず、花を咲くようにして欲しいという依頼があり、それからのおつきあいとなっています。
幹にウレタン処置された部分がありましたが、表面はボロボロになり、患部からの剥離があり、相談をうけ処置をしたものです。
ウレタンは直射日光で劣化しやすく、強度も低く、腐朽部分内へ湿気を留め、腐朽を促進させてしまう可能性もあります。
腐朽菌が活発化するのには一定の温度と湿度が要求されます。患部は湿気が滞るよりは乾燥させておいた方がよいのでウレタンを除去し、可能なかぎり腐朽部分を取り除きました。
患部に殺菌剤を散布し、防腐剤を塗布しました。
今回の治療で、これ以上腐朽が進行せずに、末長く成長し続けられるように願うばかりです。
 
 
写真1 治療施工前
 
写真2 ウレタン撤去中
 
 
写真3 防腐剤散布中
 
写真4 治療施工完了
 

樹木医日記-~木々との語らい~No.16

樹木医日記-~木々との語らい~No.16
 
樹齢100年のトキワマンサク(樹木医 冨田 改)
今回は樹齢約100年、樹高5.5m、枝張り6m、4本立ちの立派な姿のトキワマンサクの話です。
木全体に白い花を付けたときの姿は目を見張るものがあり、ご近所でも評判の地域のシンボルツリーのようです。

ところが3年前に移植をしてから、次第に樹勢が低下しだし、小枝枯れや中枝枯れが発生し、花も往時の面影がないほどに少なくなってしまったとのことで、相談がありました。

伺って診断してみると、20㎝の深植えと土壌が極度に固くなっていることが分かりました。
基本的な治療として、深植え分の土壌撤去と土壌膨軟化を行い、また土壌改良剤や細炭を入れるなどして樹勢回復を図りました。引き続き経過観察をして行きます。

 
 
 
写真1 治療施工前の根元の状態
 
写真2 深植え分は20㎝ほどあった
 
 
写真3 土壌改良の途中経過
 
写真4 治療工事完了
 

樹木医日記-~木々との語らい~№14

樹木医日記-~木々との語らい~№14
 
=人災=木の衰えの原因は人間!?(樹木医 冨田 改)
   

この木は何を苦しんでいるのでしょう???

 
 このソメイヨシノはある公共施設のシンボルツリーです。玄関前におおらかに枝を伸ばし、大木の持つオーラを示しつつ、訪れる市民を楽しませてくれています。

 この桜が、近年目に見えて衰えてきました。花の付きも以前に比べ寂しいものになっています。「なんとか以前のように…」との相談を受け、問題点を確認し、いくつかの手当てを施しました。

 上の写真は手当てをする前に写したものです。何が問題なのかわかりますでしょうか。一般の方には普通に植えられているように見えますが、たくさんの木と付き合ってきた樹木医の私には、この木の叫びが聞こえてきます。「土の盛り過ぎ」「不適切な枝の切り方」など、人が間違った対応をした結果「二段根の発生」を引き起こし、樹勢を衰えさせ、ひいては「キノコの発生」という大変な負荷をこの木は抱えているのです。

 以下の写真で、実施した手当のいくつかを紹介します。
 
 
余盛が65㎝あり、すでに二段根が発生し、
広がっていた。
 
腐朽、枯死していた元の根
 
 
搾乳空気を注入し、締め固まっていた赤土を砕く。
 
 
 
中途半端な切り方のため、枯死部分が
残っていたので再切断する。
 
根を傷めないようにエアースコップで
土を除去する。
   
作業が終了しました
 
   土中の根を手当てし、キノコ対策を施し、余盛の土を取り除くなどしました。
 炎天下と土ぼこりの中、結構大掛かりな工事でした。この後も注意深く、キノコ対策を行わなければなりません。
 

樹木医日記-~木々との語らい~№13

樹木医日記-~木々との語らい~№13
 
続報『御感の藤』手入れはまだまだ続きます 2010年1月(樹木医 冨田 改)
 
 
写真 22年1月の『御感の藤』の様子
   
この樹木医日記で21年8月に話題にしました小田原城址公園の「御感の藤」の続報です。

先日、冬の手入れを行いました。
昨年の手当てのかいがあり、枝の伸びもほどほどにあり、
何より花芽がしっかり付いていてくれました。
藤の根元にはスイセンが咲き、寒さに震えていても、春の足音は着実に近づいています。
害虫、風害の影響が出ませんようにと願いつつ、今年の開花に期待を持っています。


今回の手入れの様子を以下の写真で紹介します。
   
棚上で剪定と誘引の作業です。右写真は誘引の拡大写真です。これが結構大変な作業です。
   
「御感の藤」は幹の腐朽がかなり進んでいます。その対策にも取り組んでいます。腐朽部を除去したり、防腐剤を塗布したり、樹木医として学んだことを生かしています。
 
 

樹木医日記-~木々との語らい~№12

樹木医日記-~木々との語らい~№12
 
よみがえれ『御感の藤』2009年8月(樹木医 冨田 改)
 
小田原市の城址公園に「御感の藤」と呼ばれる藤棚があります。
この藤は、大正天皇がまだ皇太子だったときにご覧になり、
感嘆したことから、こう呼ばれるようになったということです。
市民からも長年親しまれ、城址公園のシンボルの一つでもありました。

ところが数年前から、花の付きが悪くなり、花房も短くなり、
藤の衰えを心配する市民の声が、小田原市に多く寄せられるようになっていました。

この藤に関して、日本樹木医会神奈川県支部に相談があり、
同支部で管理させていただくことになりました。
現地調査を行い、手当ての方法を検討し、
私が責任者として、治療、保全に当たっております。

実際の手当ては、昨年(2008年)の7月に行った先端止めに始まり、
その後、施肥、剪定、幹の腐朽部治療などを行い、現在に至っています。
今年の開花では、まだ十分な回復は見られず、
かつ、あいにくの強風で花が散らされてしまいましたが、
房が長くなってきており、確実に回復の兆しを感じました。
来年以降さらに改善されるものと信じています。

小田原城址を訪れる多くの方々が、
心行くまで観賞できる藤になってほしいと願い、
当社のスタッフと一緒に、この御感の藤に向き合っています。

 
 
 
この立派な藤棚に立派な花の付く事を願って・・・
 
 
藤棚の上に乗ってツル止めの作業を行っている様子
 
土壌調査のための土を採取しました
 

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年11月

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年11月
   
『かながわの名木100選』続報(樹木医 冨田 改)
 樹齢2000年『中川のほうき杉』
 
お久しぶりです。
当社の庭の施工例の更新を優先して進めておりましたので、このコーナーを3カ月ほどお休みしました。施工例はまだ6件ほどしか載っておりませんが、まだまだたくさんの例がありますので、今後も引き続き掲載していきます。ぜひ皆さんのお庭造りの参考にしていただけたらと思います。

ところで7月に紹介しました「かながわの名木100選」の調査がようやく終わりました。それぞれに存在感のある樹木たちとあらためて向き合うことができ、有意義な時間を持つことができました。
    ほうき杉の全体像
 
その中の一つ、県内最高樹齢の「中川のほうき杉」を簡単に紹介します。
この樹は、山北町中川の県道脇の斜面にそびえています。高さ42.5m、胸高周囲長11.09mの堂々たる大樹で、樹齢2000年と言われています。国の天然記念物に指定されており、所有者は文部科学省です。台風で大枝が避け落ちたことがあるそうで、そこを治療したあとがあります。石積み側の根元が腐朽しているので、今後の状態が心配されるところです。

今回の調査結果をまとめたものを、まもなく関係自治体等に提出する予定です。樹木は私たち人間が生きるために必要不可欠なものです。その樹木のシンボル的な存在である名木・古木たちをなんとしても守って行きたいと考えます。
 
 
大枝欠損部をセイソウセラミックで整形治療している
 
腐朽している根元部分
 

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年7月

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年7月
   
『かながわのめい木100選』を知っていますか(樹木医 冨田 改)
 
日本樹木医会神奈川支部が調査を開始
樹木医 冨田 改
 
神奈川県では「かながわの名木100選」が選定されています。
これらの名木は地域のシンボルとして、また緑の象徴として、多くの市民、県民に親しまれています。

この名木100選の指定から、23年が経っています。
この間、必要に応じて樹木の診断・治療が行われましたが、統一した調査・診断は行われおらず、今日に至っています。

私の所属する日本樹木医会神奈川県支部では、これらの貴重な樹木の現状を把握するために、調査診断を行うことにし、6月7日、「真鶴半島のクロマツ」や湯河原町の「御所神社のクスノキ」「城願寺のビャクシン」を皮切りに調査をスタートさせました。
 
 
 
御所神社のクスノ木/真鶴町
 
城願寺のビャクシン/真鶴町
   
藤沢市の常光寺では、樹齢300年とされているカヤを6人の樹木医で観察しましたが、年輪調査を専門とする鈴木清樹木医から、樹齢は500~600年と推定できるのではないかとの意見がでました。

小田原市の小田原城址の御感のフジの調査では、樹木医の他に日本造園修景協会の会員やマスコミの人たちなど50人もの人が参加し、さまざまな意見が交わされ、フジの腐朽をとめることの難しさなどの指摘もありました。
 
 
 
常光寺のカヤ/藤沢市
 
小田原城址の御感のフジ/小田原市
   
この後も引き続き県内各地の名木を調査していきます。
それぞれの樹木が、後世まで残せるのか、残したいのか、いずれにしても現状を的確に把握しなければ何も判断ができません。

この調査をもとに、名木と指定された樹木たちへのより適切な対応を多くの方と共に考えていきたいと思います。

皆さんの身近にも選定されている木があるかもしれません。
興味のある方は、インターネットで「かながわの名木100選」を検索してみてください。

 

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年6月

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年6月
   
接木Ⅱ 緊急処置としての『呼び接ぎ』(樹木医 冨田 改)
   
樹木の健康度をどう見るかは、なかなか難しいものがあり、数値で表現する方法も確立されていません。
そのためか、樹の状態が悪いとの相談があって診断に伺うと、症状が相当悪化している場合が多くあります。

写真の例は、樹の根元がカミキリ虫に侵されたため、根からの養水分の吸い上げがほとんどなく、早期落葉や先端枯れが生じてきていたものです。
そこで衰えた樹の根の代わりになるように若木をつないでやる「接木」を行いました。

つまり養水分を補給するためのバイパス手術をするわけで、この方法を「呼び接ぎ」と言います。
 
 
平成16年5月24日に接木を行う。
若木(カラタチ、根元にある細い苗木)を、
主木(ナツミカン)に接いでいる
(少し青色になっている所)
 
平成19年5月8日の状態
木がつながり、呼び接ぎした若木も太っている。
主木はこの接いだ木を通して養水分を得ている。
 

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年5月

樹木医日記-~木々との語らい~ 2007年5月
   
接木を楽しむ(樹木医 冨田 改)
   

今回は、「接木(つぎき)」についてです。

今ある樹木の品種を残したい場合や増やしたい場合に、「接木」の技術を使います。
生物の「クローン(親と同質)」を作る場合、樹木では「挿し木」が完全クローンと言えるものになります。しかし「挿し木」が難しい樹種については「接木」を行います。


ここ数年、私もさまざまな接木に挑戦しています。
一例を挙げると、友人の樹木医が見つけた新種と思われる2種類の桜の接木を行い、「浜乙女」「湘南白波」などと名前をつけて盛り上がっています。
仕事柄、弱っている樹木を次世代につなぐために接木を行うこともよくあります。


また品種の更新や、一本の木で何種類もの品種を楽しめることも「接木」の良さです。

写真は、①紅梅に白梅を接いだもの、②接いだところから芽が出ている状態、③実生のサクラに河津桜を接いだものです。

そのほか、ブルーベリーのラビットアイ系にハイブッシュ系を接いだり、藤をさまざまな手法で接いでみたりなどもしています。
それぞれの生長後の姿を思い描くのも楽しいものです。
 

 
 
紅梅に白梅を腹接(はらつぎ)した例
 
腹接したところから芽が出ている
 
実生の桜に河津桜を腹接した例
 

樹木医日記-~木々との語らい~2007年4月

樹木医日記-~木々との語らい~2007年4月
 
たかが木一本、されど・・・(樹木医 冨田 改)
今回は、道路と建物の間のわずかな隙間に立つ、立派なケヤキの話です。
おそらく開発が進む中で、むざむざ切り倒してしまうのは惜しいと、残されたものと思われます。
 
   
▲南側と北西側にあった傷
それぞれ腐朽部を取り除き、殺菌剤散布、
樹脂塗布を行い、最後に珪藻セラミックで整形をした
 
このケヤキに大きな傷が2ヶ所ありました。
10年ほど前についた傷が放置され、材の辺材部が腐朽したため、表皮との間に隙間が生じ、傷が広がったようです。
そこで隙間をなくし、腐朽を止めるための治療を行いました。
これによって樹皮の押し寄せが容易になると思います。

アスファルトに囲まれ、狭い地表という逆境の中にある木なので、根の活動が十分になされているとは考えにくく、治りは遅いと思いますが、とりあえずの処置は施せました。

このケヤキの立つ界隈は、街路樹も整備され、近くに公園もあり、比較的緑の豊かな地域なので、いっそ切り倒してすっきりさせるという考えも持てるかもしれません。

しかし大木の放つ存在感は、一度切ってしまえば、取り戻すのは難しいことです。
たかが木一本ですが、この木の緑がもたらしているさまざまな恩恵、そしてたゆまなく続いて来た生命の力には、やはり敬意を払いたくなります。
 
 
逆境の中でも豊かに枝を張っているケヤキ
 

樹木医日記-~木々との語らい~2007年3月

樹木医日記-~木々との語らい~2007年3月
 
残念な処方ミス~樹皮が枯れてしまった松を治療(樹木医 冨田 改)
立派な松をお持ちのお宅から松の状態が悪いとの相談がありました。
拝見すると、マツノザイセンチュウ予防薬の投与の仕方が悪く、その薬害による樹皮枯損の状態でした。
問題があったのは、予防薬を投入する箇所を分散させずに集中させていることと、薬の液漏れをさせていて、その液により樹皮を傷めてしまっていたことです。
 
 
 
 
▲小さな丸が薬の投与跡。これでは一箇所に集まり過ぎです。
薬を打った所から液が漏れ、液漏れに沿って樹皮が枯れていました。
 
▲枯損部を削ってきれいにし、樹脂を塗布しました。
 
▲木部の欠損した部分をケイソウセラミックで埋めました。
両端から樹皮が成長してきます。
 
▲最初に剥がしておいた樹皮を貼り付けました。
生きている樹皮が成長してくれば、この貼り付けた皮は自然とはがれます。
   
 
見事な松なのですが、絆創膏を貼られたような痛々しい姿になってしまいました。
生き生きとした樹皮が、再び幹全体を覆うようになるには、15年から20年かかります。以前の基本的な処置ミスが本当に残念です。
 

移植作業

移植作業
 
移植作業
移植作業